契約書の印紙 よくある質問

「契約書に貼る印紙は、税金の問題だから、税理士に聞けばよい」と思っている方が多いです。

 

ですが、税理士法の第2条は、「税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、・・・その他政令で定めるものを除く。)に関し、次に掲げる業務を行うことを業とする。」と規定していて、税理士の取扱業務から「印紙税」に関する業務を除いています。

そのため、税理士の先生に印紙税の相談をしても、回答をもらえないことが多いです。

 

このページでは、印紙税の問題を税理士の先生に回答してもらえず、お困りの皆さんのために、よくある質問と回答をまとめました。

 

Q.印紙を貼らない契約書は、無効なの?

A.印紙を貼っていなくても、契約書としては有効です。

印紙は、あくまでも税法上の要請にすぎません。

貼っていなかったとしても、契約の法律効果には影響しないからです。

 

 

Q.契約書に印紙を貼らないといけないと聞いたけど、節約できないの?

A.貼っておかないと、税務署が調査に入った時に、 印紙の貼付を要求されることになります(実際に、そのような目にあったという話を聞いたことがあります)。

なお、印紙を貼る必要があるのは、紙に印刷された契約書です。

そのため、契約書をPDF化して、原本を処分してしまえば、印紙を貼る必要はありません。

もっとも、契約書は、契約が争いになったときの重要な証拠なので、原本を処分してしまうことには反対です。

 

 

Q.メールで契約を結んだ場合メールを印刷して印紙を貼らないといけないの?

A.メールを印刷する義務はないので、メールを印刷しないのであれば、印紙は必要ありません。

もちろん、メールを印刷して保管するのであれば、印紙を貼る必要があります。

 

 

Q.ソフトウェア開発委託契約では、印紙が必要なの?

A.必要です。

ソフトウェア開発委託は、請負契約であり、その契約書は請負に関する文書(2号文書)に該当します。したがって印紙が必要です。

また、発注者がソフトウェアの著作権を取得する内容の契約の場合は、その契約書は無体財産権の譲渡に関する文書(1号文書)にも該当します。

なお、これは従来からある一括請負方式の場合の話です。

最近増えている、開発工程(フェーズ)ごとに個別契約を結ぶ多段階方式の場合は、若干複雑です。

まず、各個別契約の前提となる、ソフトウェア開発委託基本契約は、継続的取引の基本となる契約書(7号文書)に該当します。

その後の個別契約については、要件定義や、運用テスト(導入支援)に関する個別契約は、あくまでも準委任契約であり、その契約書は請負に関する文書(2号文書)に該当しません。また、他の課税文書にも該当しないので、印紙は不要です。

一方、内部設計や、プログラミングに関する個別契約は、請負契約であり、その契約書は請負に関する文書(2号文書)に該当します。したがって、印紙が必要です。

 

 

Q.ホームページ制作委託契約では、印紙が必要なの?

A.必要です。

ホームページ制作委託は、請負契約であり、その契約書は請負に関する文書(2号文書)に該当します。

したがって印紙が必要です。

 

 

Q.ソフトウェア使用許諾契約では、印紙が必要なの?

A.必要ありません。

ソフトウェア使用許諾契約では、あくまでもソフトウェアの使用を許諾するだけであり、ソフトウェアの著作権を譲渡するものではないので、その契約書は無体財産権の譲渡に関する文書(1号文書)には該当しません。

したがって、印紙は不要です。

 

 

Q.ASP/SaaSサービス利用契約では、印紙が必要なの?

A.必要ありません。

ASP/SaaSサービス利用契約では、あくまでもASP/SaaSサービスを利用させるだけであり、そのサービスの元となるソフトウェアの著作権を譲渡するものではないので、その契約書は無体財産権の譲渡に関する文書(1号文書)には該当しません。

したがって、印紙は不要です。

 

 

Q.ソフトウェアのプログラム保守契約では、印紙が必要なの?

A.保守の内容次第です。

単に、操作サポート、電話オペレーター、効果的な利用方法アドバイス等であれば、あくまでも準委任契約であり、その契約書は請負に関する文書(2号文書)に該当しません。また、他の課税文書にも該当しないので、印紙は不要です。

一方、プログラムの不具合の修正・補修作業まで行うのであれば、それは請負契約であり、その契約書は請負に関する文書(2号文書)に該当します。

したがって、印紙が必要です。

複数のソフトウェアの保守に関する契約であれば、継続的取引の基本となる契約書(7号文書)にも該当します。

なお、保守対象のソフトウェアについて、保守作業を行う会社が著作権を有していて、別途、ソフトウェア使用許諾契約が結ばれているのであれば、保守作業はあくまでもソフトウェア使用許諾の中の一つの義務(修繕義務)であり、別途の請負契約が結ばれているわけではないので、その契約書は請負に関する文書(2号文書)に該当しません。また、他の課税文書にも該当しないので、印紙は不要です。