債権の時効に注意
債権は、一定期間が経つと、時効で消滅します。
これは、「消滅時効」という制度の効果です。
消滅時効とは、債権を行使できるにもかかわらず、一定期間行使しなかった場合に、その状態を尊重して、債権を消滅させてしまうという、債権者からすれば困った(債務者にはありがたい)制度です。
時効の期間ですが、債権の種類によって異なります。
企業間取引で一般的な売掛債権であれば2年間、貸金債権であれば5年間で、時効となり消滅してしまいます。これらの時効期間が経過してしまうと、債権を回収できなくなってしまいます。
主な債権の消滅時効期限
消滅期限 | 債権の種類 |
6ヶ月 | ・手形を受け戻した裏書人から他の裏書人に対する請求権 ・小切手所持人の小切手上の債務者(振出人・裏書人・その他)に対する請求権 |
1年 | ・旅館・料理店・飲食店などの代金 ・約束手形の所持人から裏書人に対する請求権 ・大工・左官等の賃金 |
2年 | ・生産者・卸売商人・小売商人などの売掛金 ・労働者の賃金 ・給料等 ・弁護士、公証人の報酬 |
3年 | ・不法行為に基づく損害賠償請求権 ・約束手形振出人に対する請求権 ・工事の請負代金 ・治療代・調剤費 |
5年 | ・商行為により生じた債権 ・地代家賃 |
10年 | ・個人間の貸付金 ・確定債権(確定判決やそれと同一の効力をもつものによって確定した判決) |
時効の開始(起算点)は、権利を行使できる時からスタートします。
具体的には、支払日の定まっている債権であれば、支払日からになりますし、支払日の定まっていない債権であれば、いつでも請求できるので、原則として債権が成立した時からになります。
消滅時効は、期間満了により自動的に効果が発生する(債権が消滅する)ものではありません。
債務者が、時効の権利を使うことで、初めて効果が発生する(債権が消滅する)のです。
債権者にとって、債権が時効消滅してしまうことは、大きな損失です。
そのため、時効の管理は必須ですが、時効の問題は非常にややこしいので、弁護士に相談した方が良いです。
ちなみに、時効消滅した債権は、法人税法22条33項3号の「当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの」として、損金に算入できます。