【フリーランスをやるなら知らないといけない法律 その3】 弁護士藤井のメールマガジン VOL.155 2019/1/15

皆さん、こんにちは。
「IT弁護士.COM」の弁護士藤井です。

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【フリーランスをやるなら知らないといけない法律 その3】
「弁護士藤井のメールマガジン」 VOL.155 2019/1/15
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■ 【マイナビニュースでの連載が始まりました】

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マイナビニュースで「ビジネスパーソンなら知らないとマズい 仕事のチャットマナー」という連載を持つことになりました。

1月9日(金)に第1回の記事が公開され、以降も毎週金曜に記事が公開される予定です。

https://news.mynavi.jp/article/businesschat-1/?fbclid=IwAR2Giw9uiSvRg8sp7TF3cdqUPmWlYGwJZwq0BRjf2X2W6j4OLxyREntTNjY

2012年から仕事でチャットを使うようになってはや7年目。おそらく弁護士の中では日本で一番仕事でチャットを使っている私のノウハウを余すことなく解説していきます。

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■ 【フリーランスをやるなら知らないといけない法律 その3】

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それでは、前回のメルマガのおさらいです。

・会社に雇用された従業員としてではなく(or 従業員をしながら副業・兼業で)、業務委託で仕事をする人(フリーランス)が急増している

・フリーランスは個人として業務委託で仕事をするので、労働基準法などの労働者を保護する法律によっては原則として保護されない

・とはいえ、フリーランスを保護してくれる法律はあるので、それを知らないと損をする

・逆に、フリーランスに業務を委託する側になるときは、それらの法律を知らないと足元をすくわれる

・名目上はフリーランス(業務委託契約)ではあるものの、実質的には労働者(雇用契約)であるといえる場合には、最低賃金法や労働基準法などが適用されることがある

・そうでない普通のフリーランスの場合、高度な専門性を持っていないとダンピングに陥りやすい

・とはいえ、フリーランスに最低報酬額の基準を導入するという議論が今起きている

それでは、今回のメルマガでは、フリーランスの最低報酬額の基準に関する議論について紹介します

2018年2月20日の日経新聞の報道によれば、政府はフリーランスに支払われる報酬に関して(業務ごとに)最低額を設ける検討に入ったとのことです。

「フリーランスに最低報酬 政府検討、多様な働き方促す」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27093770Z10C18A2MM8000/

(以下引用)

政府は企業に属さない技術者やデザイナーなどいわゆる「フリーランス」を労働法の対象として保護する検討に入った。仕事を発注する企業側との契約内容を明確にし、報酬に関しては業務ごとに最低額を設ける方向だ。不安定な収入を政策で下支えする。公正取引委員会も人材の過剰な囲い込みを防ぐ対応に乗り出しており、多様な働き方を後押しする。

(引用終了)

その後、本日(2019年1月15日)現在続報は見当たりませんが、政府が提唱する働き方改革の一環として、フリーランスとして働く人を後押しするのが、今後の日本社会の流れなのでしょう。

では、この最低報酬額の基準の導入は、フリーランスの業界にいったいどんな影響を及ぼすのでしょうか。

ピュアに考えれば、フリーランスの報酬相場が(最低報酬額まで)底上げされて、フリーランスの人たちの生活が安定することになりそうです。

ですが、果たしてそうでしょうか。ちょっと考えるだけで、色々なデメリットが生じそうです。

まず、相場より安い報酬で(お値段勝負で)受注していたフリーランスは、価格優位性という強みがなくなってしまいます。

フリーランスの中には、それ一本で食べているのではなく、本業(会社勤務)がある中で副業としてフリーランスをしていたり、パートナーが安定した仕事に就いている中でお小遣い稼ぎでフリーランスをしている人もいます。

また、フリーランスとして働き出したばかりで、スキルや経験が不十分なので、まずは案件の数をこなしてそれらを積み上げたい人もいます。

そうした人たちは、別に相場よりも安い報酬で構わないのに、それが制限されてしまう(結果、業務を受注できなくなる)おそれがあります。

また、仕事を発注する側に対して「最低報酬額さえ支払えばいいだろう」という免罪符を与えてしまい、現在高い水準で報酬を得ているフリーランスの人たちの報酬が引き下がってしまうおそれがあります。

政府が良かれと思って実施した施策が逆の効果を招いてしまうことは、有期雇用で5年を超えて契約更新する人たちが希望すれば無期雇用に転換できる「無期転換申込」の制度が2018年4月からスタートしたところ、むしろ雇い止めが増えてしまった問題など、挙げたらきりがありません。

それに、フリーランスの業務は色々あります。

例えばライター業務でも、ライティングだけでなく写真撮影やイラスト制作、取材先との交渉までライターが行う場合もありますし、カメラマンなどの他のスタッフのディレクションも行う場合もあるでしょう。Wordファイルの納品ではなく、CMS入稿まですることもあります。

そういった複数の業務が横断する場合に、「業務ごとの最低額」を定めることが果たしてできるのか、という問題もあります。

そうなると、最低報酬額の基準の導入は、必ずしもフリーランス業界にとって歓迎できる話ではないかもしれません。

そこで次回は、今ある法律を使って、フリーランスをどう保護することができるかについて解説をします

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■ 【スポーツビジネスの未来 ~ママさんバレーがデータ分析&ライブ配信?~】

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ラトビアのスポーツテックスタートアップ「Play Gineering」でCEOをしているRichardさんから、Play Gineeringが切り開く未来のスポーツの世界を聞いてきました。このサービスが広まれば、それこそママさんバレーのチームがデータ分析で強化され、試合が全世界にライブ配信される日が来るかもしれません。

(続きはこちら)

https://media.itbengoshi.com/overseas/latvia-sportsbusiness/

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法務知識がなくても読んでいただけるよう、難しい話はありません。

また、頻繁に海外に行く弁護士の藤井が現地で見聞きした「世界の最先端を行く海外企業の取り組み」についても解説しています。

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