会計士・税理士の仕事はセクシーでない
エストニアでは、会計士・税理士で食べていける人、会計士・税理士になろうとする人がほとんどいなくなったそうです。
エストニアではIT化によって、会計士・税理士で食べていける人や会計士・税理士になろうとする人がほとんどいなくなったそうです。
IT化が進むことで、これまで高い収入や社会的地位を誇っていた士業の仕事が急速に衰退していくという衝撃的な話でした。
・エストニア税制はシンプルでフラット
・税率などの課税条件は、法人の規模や売上、内外法人問わずに一律
・解釈やテクニックが介在する余地がなく、節税のアドバイスができない
・法人は利益が出ても課税はされず、配当時に課税だから分かりやすい
・ただ、個人事業主にすると利益が出た時点で課税されるので、個人事業主は不利な税制(だからみんな会社を設立する。国民IDカードがあれば簡単に設立できる)
・スタートアップ向けのシンプルな会計ソフトも政府が提供している
・どこまでの範囲が経費として認められるか、基準がシンプルでクリア。接待交際費・福利厚生費として私的な消費を経費扱いにするよりも、普通に配当して(納税して)、堂々と私的に消費したほうがスムーズ
・カード決済、オンラインバンキングが当たり前、現金を使わないので、全ての取引が電子的に記録されるので、人力で記帳する必要なし
・相続税はゼロだし、国として若く、豊かでもない(相続する財産もそんなにない)ので、あまり相続とか考えていない
・というわけで、税理士・会計士がやれる仕事はほとんどない。もう先がない。会計士・税理士の仕事はセクシーでない
・旧態然とした仕事をしていた会計士・税理士は一掃された。生き残れたのは、以下のような付加価値ある仕事ができる人だけ。
① エストニアのEU加盟に伴ってグローバルなビジネスが増えたので、越境取引に関する税制アドバイスができる人
② 人口が少なく、人的資源の活用が重要なので、HRの分野に明るく、研修や転職の支援ができる人
③ 中小企業はIT導入、デジタル化が難しいので、それを支援できる人
④ 一定規模の会社は、引き続き人力での監査が必要なので、高度な監査ができる人
という感じな訳ですが、他の士業についても紹介しておきます。
まず、社労士的な仕事はないようです。労務は弁護士がやるし、社会保険制度もシンプルでクリアで、会社としては給与計算や社保関係を外注する必要がないので。
次に、司法書士的な仕事もないようです。法人設立や登記変更はオンラインのシステムで誰でも簡単にできるので。
さらに、行政書士的な仕事もないようです。各種許認可の届出・申請もオンラインのシステムで誰でも簡単にできるので。
最後に、弁護士ですが、一応仕事はあり、社会的にも尊敬されているのですが、エストニアという小国の言語、法律で成り立っている商売にすぎないので、パイが小さく、グローバルに活動するのも難しいので、先行きは決して明るくないようです。
結局、士業の仕事は情報の非対称性を利用したものが多いので、全ての手続がシンプルに、クリアに、透明になり、情報の非対称性が解消されれば、付加価値を生み出せない人は退場することになるのでしょうね。
エストニアの旧市街地