利用規約の作成・チェックポイント① 利用規約への同意を有効に取る方法
ユーザーから同意を取り、利用規約を法的に適用するために
自社に有利な利用規約をせっかく作っても、ユーザーから同意を取らなければ、その利用規約はユーザーとの契約関係に適用されません。
一方、ユーザーから同意を取る手続きを厳格にやり過ぎると(書面で申込書を送る必要があるなど)、ユーザーが面倒に感じて、サービスを利用してくれません。
そのため、ユーザーからどうやって同意を取るかは、サービス提供側としては、とても悩ましい問題です。
皆さんの中には、『うちは利用規約の中に、「ユーザーは、本サービスを利用することにより、本規約に同意したものをみなされます。」という規定を入れているから、ユーザーから同意は取れている!』と思っている方がいるかもしれません。
ですが、これだけで同意が取れているとは言えないので、注意してください。
利用規約の同意の取り方に関する、経済産業省の見解
では、どうすればユーザーから同意を取ったと言えるのでしょうか。困ったときは、お役所の見解を聞きましょう。
経済産業省は、WEBサービス等に関する様々な法律問題の解決基準を示すべく、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を、経済産業省のサイト上で公表しています。
この準則の中では、利用規約の同意の取り方について、以下のように書かれています。
“取引の申込みにあたりサイト利用規約への同意クリックが要求されている場合は勿論、例えば取引の申込み画面(例えば、購入ボタンが表示される画面)にわかりやすくサイト利用規約へのリンクを設置するなど、当該取引がサイト利用規約に従い行われることを明示し且つサイト利用規約を容易にアクセスできるように開示している場合には、必ずしもサイト利用規約への同意クリックを要求する仕組みまでなくても、購入ボタンのクリック等により取引の申込みが行われることをもって、サイト利用規約の条件に従って取引を行う意思を認めることができる。”
なかなか分かりにくい文書ですね・・・。
結局何が書かれていたかというと、
・サービスの申込画面に、「利用規約はこちら」といった感じで、分かりやすくハイパーリンクを設置しておけば、申込ボタンを押してもらったことで、利用規約の同意を得たといえる
・(利用規約を全文表示するなどした上で)「利用規約に同意します」といったボタンを別途押してもらうようなことまでは、しなくても大丈夫
と言っているのです。
もしかしたら、皆さんが思っていたよりも、利用規約の同意は取りやすいのではないでしょうか。
といっても、実際にトラブルが起きて裁判になった場合、判断するのは裁判所なので、これで絶対大丈夫とはいえません。
ですが、経済産業省が関係各所の協力を得て示した解釈なので、おそらく大丈夫でしょう。
申し込み画面の設計から専門家に相談することでクレームに対処できる
上記のやり方で同意を取ったとしても、「そんな利用規約は知らない!」とクレームをいってくるユーザーも、中にはいるかもしれません。
そこで、ユーザーが申込ボタンを押した際のログデータは取っておき、ユーザーに送る申込確認メールの中で、利用規約を全文引用するなどしておくと、そういったクレームに対処できます。
申込画面の設計が、ユーザーからの同意が有効に取れているか、専門家のチェックを受けるようにしましょう。