北欧諸国視察報告Vol.2

IT化による高い生産性を実現している北欧諸国の政府、企業の取組を学ぶべく、スウェーデン(ストックホルム)、エストニア(タリン)、フィンランド(ヘルシンキ)を回ってきました。

そこで得た情報、私の気づきを、皆さんにもシェアしたいと思います!

前回に引き続き、今回もスウェーデンの情報です。

総人口1000万人(神奈川県の人口ほど)、少ない労働人口を最大限活用しないといけないスウェーデンで、障がい者を雇用して、製造、サービス、労働者派遣の三分野で事業展開をする国営企業samhall(サムハル)の方にお話を聞きました。

・障がい者に就業の機会を与え、労働を通じて成長を促すことを目的としてはいるが、福祉政策ではなく、あくまでも労働政策

・だから補助金の支出は限定されているし、不当に安い価格設定は禁じられてる(民業圧迫になるので。昔はこれが大きな問題になったので、価格は常にチェックされてる)。他の民間企業とフェアな条件で競争(営業)しないといけない。

・「障がい者だから安かろう悪かろう」という差別をさせず、誰しもが人的資源として最大限尊重され、活用されないといけないという考え

・国から社員の「転職」を要求される(サムハルから転職するということは、その障がい者の労働市場での価値が認められたということなので)。今年は社員2万5000名の内、1100人の転職を国から求められてる(それだけ人材育成をせよということ)

・サムハルは「こういう人材が欲しい」ではなく、「サムハルで働きたい人」に来てもらい、その人が何ができるのか、何に適性があるのか、徹底的に分析して、最適な仕事に就かせる。サムハルが整理した「仕事で必要となる16種類の能力(読み、書き、意思疎通力など。写真がそれです)」を、一人一人細かくランク付けして、「可能性」と「制限」をクリアにして、サムハルが取り扱う主要な24の仕事(細かく分けると3万もある!)のどれがマッチするか判断する。このマッチングプログラムに高度なノウハウがある

・サムハルで採用されなければどこにも採用されない。だから諦めずにマッチする仕事を探す責任がある。

・ 研修にも力を入れていて、成長を促し、労働市場での価値を高め、最終的には転職を目指す(研修を担当するのもサムハル社員の障がい者。インストラクター能力を有する人が担当)

・今や年間売り上げは1000億円、IKEAやボルボ(どちらもスウェーデンの企業)などの大企業や、自宅の清掃を頼む高齢者など、顧客層は法人、個人と様々

・成功の秘訣は、広い事業領域(色々な障がいの人が、どれかしらマッチする仕事がある)、ハングリーなビジネス姿勢(営業部隊が案件を取ってくる)、優秀なマネージャー陣(優秀な層がサムハルでマネージャーをすることを目指す)、人材のマッチング、教育、熟練化、転職までのプロセスに高いノウハウがある

・社会、顧客、社員(障害者)、全員にメリットがある

・社会に対しては、少ない労働人口を最大限活用できる

・顧客に対しては、質の担保された人的資源を供給できるし、CSRにもなる

・社員(障がい者)に対しては、就業の機会を与え、労働を通じて成長を促すことができる

高い理念を、徹底的な合理化で実現するサムハルの姿勢に、「道徳なき経済は害悪であり、経済なき道徳は寝言である」という格言を思い出しました。