【損害賠償の責任を制限する条項は有効なの? その9】弁護士藤井のメールマガジン VOL.118 2017/1/25

皆さん、こんにちは。

「IT弁護士.com」の弁護士藤井です。

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【損害賠償の責任を制限する条項は有効なの? その9】
「弁護士藤井のメールマガジン」 VOL.118 2017/1/25
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■ 【横浜商工会議所のイベントに登壇します】
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横浜商工会議所主催の「よこはまITフェア2017」に、講師として登壇します。

1.日時:平成29年1月13日(金)

2.場所:横浜シンポジア
【住所:中区山下町2 産業貿易センタービル9階】
【最寄駅:みなとみらい線 日本大通駅 徒歩5分】

3.スケジュール:
10:00~     ≪展示会PRスライド≫
10:30 ~ 10:40 開会挨拶・オリエンテーション(10分)
10:40 ~ 12:00 特別講演(80分)
昼休憩    ≪展示会PRスライド≫(60分)
13:00 ~ 14:10 セミナー(70分)
14:10 ~ 14:25 小休憩≪展示会PRスライド≫(15分)
14:25 ~ 15:10 企業事例紹介(45分)
15:10 ~ 15:25 小休憩(15分)
15:25 ~ 16:15 地元企業の事例紹介(50分)
~ 16:30    終了予定

4.問合せ:横浜商工会議所 総務部運営管理担当
TEL:045-671-7498 FAX:045-671-7410

私は、14:25〜15:10の枠で、「ITで実現する未来の働き方」というテーマで講演します。

詳細の確認は、下記リンクからお願いします。

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■ 【損害賠償の責任を制限する条項は有効なの? その9】
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それでは、前回のメルマガのおさらいです。

・企業が提供するサービス、受託する業務、販売するソフトに関する契約書や利用規約には、損害賠償の責任を制限する条項が設けられているのが普通であり、ビジネス上のリスク管理として重要

・しかし、法律の不正確な理解のために、法的に無効な条項が設けられている場合がある

・法律上、契約の当事者は「債務」を負い、それを履行しないと「債務不履行責任」を負い、その責任内容として、損害賠償義務がある

・1.債務者の責めに帰すべき事由によって(帰責性) 、2.期限が遅れた(履行遅滞)/不十分な履行だった(不完全履行)/履行ができなくなった(履行不能)、 3.その結果として損害が発生した(因果関係)場合に、債務不履行責任として損害賠償義務を負う

・帰責性は「故意又は過失」がある場合に認定される(不可抗力の場合は、そもそも帰責性がないので責任を負わない)

・「故意」とは、「自分の行為が一定の結果を生じさせることについて、予見していたにも拘らず、行為を実行した」という意味

・「過失」とは、「自分の行為が一定の結果を生じさせることについて、予見が可能であったにも拘らず、注意を怠って予見しなかった。」「自分の行為から一定の結果が生じることを回避可能であったにもかかわらず、回避するための行動を怠った」という意味

・損害賠償義務は、債務者(ベンダー、クラウド事業者、制作会社など)にとって重大なリスクであり(委託料や利用料を上回るような損害賠償額になることも)、損害賠償義務を制限する規定は不可欠

・逆に債権者(発注者、ユーザー)の場合は、そのような規定は回避すべき

・契約を結ぶ際は、自社がどちらの立場かきちんと把握して、責任制限規定の有無を検討すべき

・故意・重過失がある場合にのみ損害を賠償する(損害賠償の発生要件を制限する)規定は、事実上「ほぼ損害賠償責任を負わない」に等しい強力な規定であり、BtoBの契約では法的に有効

・ 通常損害のみ賠償し、特別損害は賠償しない規定は、両者の区別が難しいことから、どこまで効果があるかは未知数

・「通常損害のみ賠償し、逸失利益を含む特別損害は賠償しない」という規定であれば、特別損害の内容に(予想外に高額になりがちな)逸失利益を含ませることができるので、損害賠償の範囲を抑えるができる

・「現実損害」「直接損害」「派生的若しくは付随的損害」「間接的損害」「結果的損害」といった種類の損害は、日本の法令用語ではないので、これらの損害を賠償しないという規定の効果は疑問

それでは今回、いよいよ損害賠償の「金額」を制限する規定を解説します。

「甲又は乙は、本契約に定める義務に違反した場合、相手方に生じた損害を賠償する責任を負うものとする。なお、賠償すべき損害の金額は、本契約に係る対価相当額を限度とする。」

⇒対価を限度として賠償する

まずはシンプルに、対価(委託料や利用料など)を上限とするものです。

では、受注者やサービス提供者の立場から、これで十分だと思われますか?

単発の案件の受注なり、クラウドサービスの利用契約なら、これで十分かもしれませんが、案件全体の対価が高額になりがちなシステム開発契約などでは、もっと金額を抑える方法があります。

「甲又は乙は、本契約に定める義務に違反した場合、相手方に生じた損害を賠償する責任を負うものとする。なお、賠償すべき損害の金額は、帰責事由の原因となった個別契約に係る対価相当額を限度とする。」

⇒個別契約の対価を限度として賠償する

システム開発やコンサルティングなどで各フェーズごとに個別契約を結ぶ(いわゆる多段階契約方式の)基本契約と組み合わせれば、案件全体の対価を上限とする場合と比べて、低額な損害賠償で済ますことができます。

それどころか、もっと金額を抑える方法があるのですね。

「甲又は乙は、本契約に定める義務に違反した場合、相手方に生じた損害を賠償する責任を負うものとする。なお、賠償すべき損害の金額は、帰責事由の原因となった個別契約に関して、現実に支払済みの対価相当額を限度とする。」

⇒個別契約の対価の内、現実に支払われた額を限度として賠償する

現実に支払われた対価を上限とすれば、未払いの段階で損害賠償を請求された場合、ゼロになるのです。

随分と一方的な規定だと思った方もいるかもしれませんが、実際にこういった条項の入った契約書はよく目にします。

というわけで、これまでのメルマガで、発生要件の制限、賠償項目の制限、賠償金額の制限について解説してきましたが、これらを全部セットにした場合、いったいどんな規定になるのでしょうか。

はたして、そんな規定は法的に有効でしょうか。

次回、損害賠償シリーズ最終回、これまでの総まとめの規定を解説したいと思います!

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■ 【ジャージで着物?】
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妻は着付けができて、妻の祖母や母から沢山の着物を貰っているので、よく着物で出かけてます。

男性用の着物も妻の母から一着貰っていて、時たま私も、妻に着付けてもらっていたのですが、なにぶん自分一人では着れないのと、汚れてもそう簡単にはクリーニングに出せないため(専門業者に出して、1ヶ月位かかります)、ちょっと敬遠してました。

ところがつい先日、ジャージ素材の着物(家で洗濯できる!)を出しているブランドのことを知りまして、しかも帯の内側をマジックテープで留められるとか(一人で着れる!)、羽織にポケットがあるとか、とにかく機能的で、それでいてデザインもキチンとしているので、初めて自分用の着物を買ってみました。

触らなければジャージ素材とは分からないので(見た目は普通に着物です)、着物を着ている私と会ったときは、触らないでください!

 

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