【損害賠償の責任を制限する条項は有効なの? その7】弁護士藤井のメールマガジン VOL.116 2016/12/12

皆さん、こんにちは。
「IT弁護士.com」の弁護士藤井です。

==============================
【損害賠償の責任を制限する条項は有効なの? その7】
「弁護士藤井のメールマガジン」 VOL.116 2016/12/12
==============================

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■【顧問先インタビューのご紹介 株式会社enish様】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

当事務所では、顧問先企業の皆さまに顧問契約の感想をお聞きする「顧問先インタビュー」を行っています。

インタビューの内容は、当事務所のウェブサイトにも掲載していますが、メルマガでも順次ご紹介します。

今回ご紹介するのは、モバイルゲームアプリケーションを提供されている、東証一部上場企業の株式会社enish様です。

当事務所には、取引や事業、M&Aなどの経営に関する相談をされ、しっかりとした契約書や英文契約書などを作成されたいときは、大手法律事務所にと、使い分けをされているとのことです。

インタビューの内容は、こちらのページからご覧ください。

http://itbengoshi.com/page-6267/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 【損害賠償の責任を制限する条項は有効なの? その7】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
それでは、前回のメルマガのおさらいです。

・企業が提供するサービス、受託する業務、販売するソフトに関する契約書や利用規約には、損害賠償の責任を制限する条項が設けられているのが普通であり、ビジネス上のリスク管理として重要

・しかし、法律の不正確な理解のために、法的に無効な条項が設けられている場合がある

・法律上、契約の当事者は「債務」を負い、それを履行しないと「債務不履行責任」を負い、その責任内容として、損害賠償義務がある

・1.債務者の責めに帰すべき事由によって(帰責性) 、2.期限が遅れた(履行遅滞)/不十分な履行だった(不完全履行)/履行ができなくなった(履行不能)、 3.その結果として損害が発生した(因果関係)場合に、債務不履行責任として損害賠償義務を負う

・帰責性は「故意又は過失」がある場合に認定される(不可抗力の場合は、そもそも帰責性がないので責任を負わない)

・「故意」とは、「自分の行為が一定の結果を生じさせることについて、予見していたにも拘らず、行為を実行した」という意味

・「過失」とは、「自分の行為が一定の結果を生じさせることについて、予見が可能であったにも拘らず、注意を怠って予見しなかった。」自分の行為から一定の結果が生じることを回避可能であったにもかかわらず、回避するための行動を怠った」という意味

・損害賠償義務は、債務者(ベンダー、クラウド事業者、制作会社など)にとって重大なリスクであり(委託料や利用料を上回るような損害賠償額になることも)、損害賠償義務を制限する規定は不可欠

・逆に債権者(発注者、ユーザー)の場合は、そのような規定は回避すべき

・契約を結ぶ際は、自社がどちらの立場かきちんと把握して、責任制限規定の有無を検討すべき

・故意・重過失がある場合にのみ損害を賠償する(損害賠償の発生要件を制限する)規定は、事実上「ほぼ損害賠償責任を負わない」に等しい強力な規定であり、BtoBの契約では法的に有効

それでは、今回のメルマガでは、損害賠償の項目を制限する規定について解説したいと思います。

「甲又は乙は、本契約に定める義務に違反した場合、相手方に生じた通常の損害を賠償する責任を負うものとし、特別損害については、その予見可能性の有無を問わず、賠償する責任を負わないものとする。」

⇒ 通常損害のみ賠償し、特別損害は賠償しない

以前のメルマガで解説したとおり、通常損害とは、その債務不履行があった場合に通常生じる損害で、特別損害とは、特別の事情によって生じる損害です。

例えばECサイトの開発案件で、納期遅れによってサイトのオープンが遅れた場合、その遅れた間に予想された利益は通常損害になりますが、その商品がたまたまニュースで取り上げられたとして、その時点でサイトが予定通りオープンしていたら、注文が全国から殺到していた場合、それで予想された利益は特別損害になります。

通常損害は、損害賠償義務があり、特別損害は、その特別の事情が予見可能であった場合に限り、損害賠償義務があるわけですが、上で挙げた規定は、予見が可能であったかどうかに関係なく、損害賠償義務を無しにしてしまうわけです。

これは一見すると効果的な規定のようですが、実のところ、これにどこまで効果があるか微妙なところです。

というのは、通常損害と特別損害の区別は、非常に難しいのですね。

例えば、予約発券管理システムで考えてみてください。

システム障害で稼働しなかったことで生じる損害といえば、手作業切り替えによに生じる人件費追加負担や、販売機会の喪失(逸失利益)、影響を受けた顧客からのクレーム処理などでしょうが、これらの損害の内、どこまでが通常の損害で、どこからが特別の損害でしょうか。

実際の裁判でも、何が通常損害で、何が特別損害なのか、議論になることが多いです。

そのため、単に特別損害を損害賠償の対象から省くだけでは、そこまで有効性が高い規定とはいえません。

そこで、この規定の有効性を高めるための一工夫が必要になるのです。

そのポイントは、次回のメルマガで解説したいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 【未来を先取りするレポート】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここ数回にわたって、シアトルとサンフランシスコの研修レポートをお伝えしてきました

第1回は、シアトルにあるAmazonのリアル書店「amazon books」を、第3回は、同じくシアトルにあるスターバックスの劇場型焙煎所併設高単価ショップ「Starbucks Reserve」をレポートしてきたわけですが、ここに来て、立て続けに驚くべきニュースが!

まず、Amazonはリアルコンビニを開店することを発表しました。
その名も「Amazon GO」。

http://mainichi.jp/articles/20161206/k00/00e/020/189000c

記事を見た方も多いと思いますが、レジで会計することなく(そもそもレジがない)、欲しい商品をそのままバッグにでも入れて退店すれば、どの商品を購入したか(持ち出した)が識別されて、自動で決済されるという画期的な仕組みです。

すでにシアトルでは、従業員を対象に実験店舗を運営していて、来年にいよいよ実際に営業を開始するそうなので、またシアトルに行って、レポートしたいと思います。

また、スターバックスは日本でも「Starbucks Reserve」を開店することを発表しました。
場所は中目黒です。

http://top.tsite.jp/lifestyle/table/i/31542878/

さらに、スターバックスのハワード・シュルツCEOがCEO職を退任し、「Starbucks Reserve」のプロジェクトに専念することを発表しました。

http://www.itmedia.co.jp/news/spv/1612/02/news053.html

スターバックスの「Starbucks Reserve」への本気度が伝わってくるニュースですね。

未来を(ほんの少し)先取りできるレポートを、このメルマガの読者の皆さんにお伝えできてよかったです。

(第1回の「amazon books」のレポートはこちら)
http://itbengoshi.com/amazon/

(第3回の「Starbucks Reserve」のレポートはこちら)
http://itbengoshi.com/starbucks-reserve/

次回のメルマガでは、シリコンバレーのGoogle本社を訪問した際のレポートをお伝えしますので、お楽しみに!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 【顧問契約募集のご案内】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
弁護士法人ファースト法律事務所は業務拡大中につき、顧問契約を募集中です。

・法律相談に24時間以内に回答
・契約書や利用規約をチェック
・契約書や利用規約を作成
・契約交渉をバックアップ
・未収金回収
・労働問題対応
・ウェブサイトなどで顧問弁護士を表示可能
・他にも多数のサービスあり

これら全てが、毎月定額の顧問料に含まれています。

オンラインベース(チャットやメール)でやり取りできるので、東京近郊でない企業様でも対応可能です。

面倒でリスクも高い法務の業務は、専門家にアウトソーシングしませんか?

顧問サービス内容をイラストで分かりやすく紹介したページをご覧ください。

http://itbengoshi.com/page-5427/

※バックナンバー※
メルマガバックナンバーは、下記のリンクからご覧ください。
http://itbengoshi.com/category/mailmagazine/