IT企業の契約書には印紙が不要? その4

■「弁護士藤井のメールマガジン」  VOL.55  2014/3/31

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■ 【IT企業の契約書には印紙が不要? その4】
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さて、メルマガその1~3のおさらいです。
・「契約の成立等を証明すること」を目的として作成(印刷)された文書は、印紙税法上、印紙を貼らないといけない「課税文書」に該当する可能性がある
・契約書は、「契約の成立等を証明すること」を目的として作成されることが通常
・もっとも、契約書すべてが「課税文書」に該当するのではなく、その中の一定の種類の契約に関するものが、「課税文書」に該当する
・IT企業が取り交わすことの多いものの内、課税文書に該当するのは、以下の契約書
・無体財産権の譲渡に関する契約書(1号の1文書)=ソフトウェアやイラスト、ドキュメントなどの、著作物の譲渡に関する契約書
・請負に関する契約書(2号文書)=(個別の)ソフトウェア開発委託契約書
・継続的取引の基本となる契約書(7号文書)=ソフトウェア開発委託「基本」契約書 ・ASPサービスの利用契約書(利用規約、利用約款)、ホスティングサービスの契約書、SEO等のコンサルティング契約書は、基本的には準委任契約なので、課税文書に該当しない
・ハウジングサービスの契約書は、基本的には建物・動産賃貸借契約と準委任契約の混合契約なので、課税文書に該当しない

それでは、今回のメルマガでも、IT企業が取り交わすことの多い契約書のうち、課税文書に該当しないものを、引き続き解説します。
まず、ソフトウェアのライセンス契約書は、課税文書に該当しません。 ソフトウェアのライセンスは、基本的に、著作権の「利用許諾」を意味します。

そして、著作権のような無体財産権に関して、印紙税法は、課税文書として、無体財産権の「譲渡」に関する契約書(1号の1文書)しか挙げていません。 したがって、著作権の「利用許諾」であるソフトウェアのライセンス契約書は、課税文書に該当しないのです。   また、ソフトウェアの保守契約書も、課税文書に該当しないことが多いです。

例えば、バージョンアップ情報やエラーレポートの提供、使用に関する問合せへの回答、技術的な指導の実施などは、仕事の実施を目的とした準委任契約になるので、課税文書に該当しません。サポートの要素が強い契約の場合ですね。 ですが、プログラムの瑕疵の修正を保証する(努力義務ではない)場合や、追加機能の開発を行う場合は、仕事の完成を目的とした請負契約になるので、基本契約書であれば7号文書、単発の契約書であれば2号分書に該当することになります。

この点、国税庁のサイトでは、ソフトウェアの保守契約書については言及がありませんが、エレベーターの保守契約書については、言及がありま。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/12/23.html
上記ページによると、エレベーターの保守契約書は、「常に安全に運転できるような状態に保つ」という仕事の完成を目的とした請負契約になるので、課税文書に該当する、とのことです。
というわけで、自社が取り交わす保守契約書の内容が、請負契約なのか、それとも準委任契約なのか、慎重に検討するようにしてください。

印紙税の話は、意外に奥深いことが、分かりましたでしょうか。 印紙を貼り忘れて過怠税を徴収されたり、逆に、印紙を貼らなくてよいのに印紙を無駄に貼らないように、気をつけてくださいね。

 

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