Q.損害賠償額の制限は、どこまで出来るの?

A.損害賠償額を制限することはできますが、あまりに低すぎると無効になります。

「いくらまでなら有効で、いくらから無効になる、」というような、明確な基準はありませんが、参考になる基準はあります。

それは、JISA(社団法人情報サービス産業協会)が、経済産業省のモデル取引・契約書を基に作成した、ソフトウェア開発委託モデル契約書です。 (JISAのサイト) http://www.jisa.or.jp/pressrelease/20090330.html

JISAのモデル契約書(の第53条)には、以下の内容の損害賠償額の制限規定があります。

「3.第1項の損害賠償の累計総額は、債務不履行、法律上の瑕疵担保責任、不当利得、不法行為その他請求原因の如何にかかわらず、甲又は乙の責に帰すべき事由の原因となった個別契約に定める委託料相当額を限度とする。」

ようするに、「委託料と同額が、賠償額の上限です」ということになります。 このモデル契約書は、受託開発型の契約を前提としているので、「委託料」が上限となっています。

これが、ASP/SaaS型で、月額利用料金を支払うサービスだと、「今までに支払った利用料の総額」になると思います。 このモデル契約書は、JISAが、経済産業省のモデル契約書を基に作成したものなので、その内容には信頼性があります。

したがって、これと同じ内容の損害賠償額の制限規定であれば、実際に裁判になった場合でも、有効になる可能性は、かなり高いと思います。

もちろん、これよりも損害賠償額の上限が低くても(例:1年分の利用料・利用料総額の50%)、有効になる可能性は、十分あると思います。

ただ、例えば、「1ヶ月分の利用料」とか、「1万円」とか、上限があまりに低すぎると、さすがに無効になる可能性が高いと思います。 損害賠償額の制限額は、低過ぎないようにしましょう。