債権回収事例

以下の事例は、これまでの当方の債権回収事例をベースに、アレンジしたものです。

 

1 内容証明郵便で債権回収

回収に要した期間:1週間 回収額:50万円

(事例)
A社は、B社から、WEBマーケットの調査依頼を受けました。

A社は、調査作業を実施して、その結果をまとめたレポートをB社に提出し、請求書も送付しました。

しかし、期限を過ぎてもB社は報酬を支払いませんでした

そこで、A社が問い合わせると、B社は、レポートの内容に問題があるので調査している、調査が完了するまで報酬の支払は留保する、と主張してきました。

ところがB社は、その後何度A社が問い合わせても、レポートの内容に関する具体的な問題を指摘せず、また、何らかの調査をしている様子もありませんでした。

 

(対応)
B社の対応からすれば、B社が単に難癖をつけて、報酬を踏み倒そうとしていることは明らかでした。

そこで、A社は弁護士に依頼して、弁護士名義で内容証明郵便を送りました。

内容証明郵便では、レポートの具体的な問題を期限内に明らかにすること、期限内に明らかにしない場合は、根拠なき不払いを認めたものを看做すこと、その場合、直ちに訴訟を提起することを警告しました。

すると、B社は、内容証明郵便到達の翌日に、報酬を全額支払ってきました

 

(ポイント)
弁護士名義の内容証明郵便を受け取った相手は、「もしこれを無視したら、次は裁判を起こされる。」という危機感を覚えます。

そのため、根拠無く支払を拒んでいるような相手の場合は、観念して支払ってくるのです。

内容証明郵便についてはこちら

 

2 支払督促で債権回収

回収に要した期間:10日間 回収額:2万円

(事案)
C社は、ASPサービスを提供している会社でした。

顧客Dは、口座引落でサービスを利用していましたが、残高不足で引き落としができない状態が続いたため、サービスの利用を打ち切られました。

C社は、顧客Dに対し、未払いの利用料を支払うよう連絡をしましたが、顧客Dは、一切反応しませんでした。

そこでC社は、弁護士に依頼して、弁護士名義で内容証明郵便を送りましたが、顧客Dは、受取を拒絶したため、内容証明郵便が届きませんでした

 

(対応)
会社や弁護士からでは、これ以上の請求が困難でした。

そこで、C社は、弁護士のアドバイスを受けながら、自社で支払督促を行うことにしました。

C社が、速やかに必要書類を揃え、支払督促を申し立てると、裁判所の書記官は、顧客Dに対して、支払督促を出してくれました。

すると、顧客Dも、さすがに裁判所の書記官から送られてきた書面の受取は拒絶できなかったようで、すぐに未払いの利用料を全額支払ってきました

 

(ポイント)
会社や弁護士からの連絡を無視するような相手でも、裁判所からの連絡を無視することはできません

支払督促は、簡単に「裁判所」の威を借りることのできる手続きです。

支払督促についてはこちら

 

3 訴訟を提起して債権回収

回収に要した期間:1年間 回収額:300万円

(事例)
E社は、F社から、ソフトウェアの開発委託を受けました。

開発作業の途中、E社担当者は、F社担当者から、仕様変更の要請を、口頭で何度か受けました

E社担当者は、仕様変更には新たな費用が発生することを説明したところ、F社担当者は、開発が終了したら全て精算するので、ひとまず作業を進めるよう要請しました。

その後、開発が終了したので、E社が増加費用を精算して請求したところ、F社は、本件でE社が行ったのは有償の仕様変更ではなく、当初から予定していた作業であるとして、増加費用の請求を拒みました
 

(対応)
仕様変更に関するやり取りが口頭で済まされていたため、F社担当者が仕様変更の増加費用を認めていたことを裏付けるような、客観的な証拠はありませんでした。

しかし、E社は、弁護士と協議した結果、仕様変更の前後のやり取りに関するメールなどでも、ある程度は証拠になると判断して、訴訟を提起しました。

訴訟では、裁判官も、それらの証拠をある程度評価してくれて、E社の主張を認める余地がありそうな様子でした。

そのため、敗訴することを危惧したF社は、裁判官の提案を受け入れて、請求金額の半分を支払う内容の和解に応じることにしました。

E社としても、勝訴が確かな事案ではなかったので、敗訴して一切回収できないくらいなら半分でも構わないと考え、和解に応じました

 

(ポイント)
客観的な証拠がないため、勝訴が確かな事案ではなくても、裁判官の和解提案などによって、ある程度の額で折り合いをつけることもできます

訴訟提起によって、硬直した状態を打破することができるわけです。

通常訴訟についてはこちら